凹んだら読む本_第二章(10)

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『凹んだら読む本』_第二章(10)2021.12.09

10.凹まない朝の運動

身体を動かすと、交感神経が優位に働くことで、血液の流れが促され、筋肉も目覚める

朝は1日の始まりです。いつもより少しだけ早く起きて、身体を動かすことを習慣化す ることは、凹む気持ちを遠ざけます。
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」に分かれており、このふたつがバランスをう まく保つことで、私たちは毎日を元気に過ごすことができます。

身体を動かすと交感神経が優位に働きます。
交感神経が優位に働くことで、血液の流れが促され、筋肉も目覚めます。

朝の時間に身体を動かすことで、1日中働き続ける脳も活性化させます。
血液や酸素を 効率よく脳に届けることができるようになるだけでなく、その効果が長時間持続するよう になります。
集中力が高まり、脳が目覚めます。

午前中は調子が上がらずに、注意力が散漫になってしまう人、午前中は凹んで会社に出勤するのが億劫(おっくう)になってしまうという人は、とくに朝の運動が効果的です。
朝に行うとよい運動はいろいろありますが、凹まないため、凹んでもすぐに回復するための運動としてご紹介したいのが、先にも触れた「アルファビクス」です。


名前からは「エアロビクス」のような速い運動を想像するかもしれませんが、アルファ ビクスは、腹式呼吸をしながらゴムバンド(アルファビクスバンド)を使ってゆっくり行 う有酸素運動で、ヨーガの考え方や身体の動かし方を取り入れています。

読者のみなさんは、ヨーガを体験したことはありますか。ヨーガは身体の柔軟な人にはとても気持ちがいい運動です。
でも、身体の固い人たちにとっては、ヨーガのポーズは苦痛以外の何物でもないようです。
それなら、こんな身体の固い人たちでも「身体を動かすことは気持ちがいいものだ」と わかってもらえるような運動プログラムをつくりたいと考え、考案したのがアルファビクスです。


運動の苦手な、身体の柔軟性に乏しい人でも運動ができるためには、運動の「補助」の働きをするものが必要だと考え、ゴムバンドを使った運動にしました。
また、ヨーガはストレッチが主体ですが、ストレッチだけでなく、筋力トレーニングの要素も盛り込みたいと考えました。
そこで、無理のない筋力トレーニングにもなるようなゴムバンドの素材をいろいろ試してみました。

一口にゴムバンドと言っても、チューブやセラバンドなど、いろいろなものがありますが、腹式呼吸に合わせてゆっくり身体を動かすときに使うバンドはもっと柔らかく、ゆっくり動作を戻すときにも楽にできるものがいいと考え、多くの素材で試行錯誤した上で、現在のアルファビクスバンドをつくりました。
36本のゴムが綾織りになった布製のバンドなので、高齢者や妊婦さんでも、誰でも無理なく引っ張ることができます。


▼安静時の心拍のリズムで行う運動

リラックスしているとき、人間の脳波はアルファ波状態になっています。ということは リラックスするためには脳波をアルファ波状態にするのが効果的です。
脳をアルファ波状態に導くのに手っ取り早いのはアルファ波音楽、それも「1分間の拍、4分の4拍子」のリズムの音楽というのは第1章でお話しした通りです。
そもそもストレスマネジメントの研修プログラムなので、身体を動かしながらリラックスができるようにするためにはこの「音楽」が重要だと考え、アルファ波状態に導きやすいこのリズムの音楽に合わせて運動を行うことを考えました。


安静時の心拍数である「1分間の拍」のリズムを刻むために、低音部分を1拍1秒で刻 む音楽をつくってもらいました。
ゴムバンドを使ったほうが、身体への効果としては非常に高いのですが、ここではバンドなしの運動のやり方をお教えしましょう。

基本の呼吸法や運動は、「1分間の拍、4分の4拍子」のリズムの音楽に合わせて、8秒間で行います。
8秒間かけて、ゆっくり息を吐きながら伸ばし、8秒間かけてゆっくり息を吸いながら戻す動作を繰り返しながら運動を行います。

朝にやるとよい運動として、手軽なパターンを2つほどご紹介します。
ひとつは「胸を開く運動」。もうひとつは「背骨を伸ばす運動」です。
ご参考までに、「背骨を伸ばす運動」は、ゴムバンドを使った場合のイラストも載せておきます。
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